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二国間クレジット制度等新メカニズム実現可能性調査(FS)結果データベース

調査名調査区分JCM実現可能性調査(FS)
調査名バイナリー地熱発電
調査年度2013(平成25)年度
調査団体日本工営株式会社
調査協力機関Hen Linn San Co., Ltd (HLS)
調査対象国・地域ミャンマー・タチレイ市
対象技術分野再生可能エネルギー
報告書

※JCM方法論(案)及びPDDは、調査の結果として開発されたものであり、二国間クレジット制度の下で適用することについて正式な承認が得られたものでも、将来承認が得られることを保証するものでもありません。

<調査成果としてのJCM方法論(案)>
<調査成果としてのJCMプロジェクト設計書(PDD)(案)>
プロジェクトの概要東シャン州タチレイ市は、タイ国との国境に位置し、交通の要所として市街化が急速に進んでいる。同市の現在の人口約10万人は、数年以内に倍増すると考えられている。こうした急速な発展により、深刻な電力不足を生じており、頻繁な停電発生を余儀なくされており、緊急の電力インフラ開発が望まれている。本プロジェクトは、周辺の豊富な地熱資源を利用して、タチレイ市の近郊にパイロットとして200kW規模の地熱発電施設の建設を検討するものである。現在、プロジェクト周辺地域の電力は、100%タイ国からの輸入で賄われているが、今後の電力不足を補うためには、発電コストが高いディーゼル発電に頼らざるを得ないと推定される。したがって、その一部を地産の再生可能エネルギーである地熱発電に置き換えることにより、電力供給の安定化や売電価格の低減が図れ、ミャンマー国内で排出されるGHGの排出削減に大いに貢献できるものと期待される。
JCM方法論適格性要件本方法論では、以下に示す4つの適格性要件を設定した。
【適格性要件1】バイナリー方式の地熱発電設備の設置であること
【適格性要件2】発生蒸気中に含まれるCO2及びCH4濃度の定期モニタリング契約を、分析会社と交わしていること。ただし、新たに生産井を掘り蒸気を二次媒体の加熱に使う場合にのみ本要件を適用する
【適格性要件3】二次媒体としてIPCC評価報告書で示すGHGを使う場合、その充填量を最低年1回モニタリングする計画があること
【適格性要件4】バイナリー地熱発電設備メーカー、もしくはエンジニアリング会社から最低1年間以上の保証サービスを受け、かつバイナリー地熱発電設備の本体及び付帯設備について年次メンテナンスサービスを受ける計画があること
デフォルト値の設定本方法論において設定するデフォルト値は以下の通りである。
ミャンマー国の系統電力排出係数 : 0.371[tCO2/MWh]
ディーゼル発電機(中型)システムの排出係数 : 0.56[kg CO2/MWh]
ディーゼル発電機(小型)システムの排出係数 : 0.7 6[kg CO2/MWh]
二次媒体の地球温暖化係数 (tCO2e/tHFC-245fa) : 1,030
リファレンス排出量の算定本JCM方法論では以下の3つのリファレンスシナリオを提案している。
【シナリオ1】ミャンマー国のグリッドが延伸され、電力が供給される
【シナリオ2】中型(出力1,000 kW程度)のディーゼル発電機が導入され、分散型電源として電力が供給される
【シナリオ3】各世帯に小型のディーゼル発電機が導入され、自家発電で電力が供給される
モニタリング手法◆リファレンス排出量に係るモニタリング : 全てのシナリオにて、バイナリー地熱発電設備の送電量[MWh/y]をモニタリングする。
◆プロジェクト排出量に係るモニタリング : プロジェクト排出に係るモニタリングとして、(1) 蒸気中に含まれるCO2濃度とCH4濃度、(2) 発生蒸気量、(3) 二次媒体の充填量、を確認する。
GHG排出量及び削減量リファレンスシナリオ1(グリッド延伸の代替)に関して、GHG排出削減量を算定した場合、発電量1,261[MWh/y]がグリッド排出係数0.371[tCO2/MWh]の代替となることから、GHG排出削減量は468[tCO2/y]となる。
環境影響等本プロジェクトはディーゼル発電の代替となり、SOxやNOx等の大気汚染物質の削減に寄与する。本プロジェクトで採用するバイナリー方式は、基本的に閉鎖系であるので、大気・水質汚染物質の汚染等はほとんどないとが考えられる。負の影響として、騒音、排熱、景観の影響を考慮する必要がある。しかしながら、本プロジェクトの候補地点Loc.2では、約2 km以内には民家はないため、騒音の住民生活への影響はほとんどないと考えられる。また、排熱に関して、発電によって得られる余熱を利用して、サウナや穀物の乾燥施設として活用し、環境への負荷を下げることも可能である。景観の多少の変化は避けられないが、樹木の伐採を最小化する等、環境に配慮した建設は可能である。
事業計画タチレイ市中心部から約8.2km北東、San Lue村から約2 km 北方に、200 kW規模のバイナリー地熱発電所を建設するものである。2015年工事着工、2017年から操業開始を予定している。調査費を含めた総建設額は約535百万円。本プロジェクトは、ミャンマー国初の地熱発電プロジェクトである。
日本技術の導入可能性日本製のバイナリー地熱発電設備は、近年、ようやく製品販売が始まったところである。国外における日本製バイナリー地熱発電設備の展開も、海外メーカーに比べて後れを取っている。このため、性能と価格において他国製品に対する優位性を示すことは難しいが、一つのセールスポイントとなるのが保守点検サービスと手厚い保証サービスである。事業者に配慮した保守点検と保証サービスは、バイナリー地熱発電設備に限らず日本のメーカー全般に共通している優位性でもある。また、ミャンマーでは初めての地熱発電事業であり、進出先鞭をつけることによって、世界の中でも数少ない未開拓市場であるミャンマーでの今後展開が期待できる。
ホスト国における持続可能な開発への寄与近年の民主化に伴う経済成長により、急増する電力需要に対し、ミャンマー政府は、水力発電の増強に加え、ガス、石油、石炭などの電源多様化、地熱を含めた再生可能エネルギーの開発促進を、緊急の課題として打ち出している。ミャンマー国内では98の温泉が確認されている(Myanmar Engineering Society 資料)。また、タチレイ市を含む東シャン州一帯には、地熱源となる花崗岩が広く分布し、シャン州では17の温泉が確認されている(Geology of Buruma(1934))。しかしながら、大きな地熱ポテンシャルが予想されるものの、これまでミャンマー地熱開発は詳細な調査を含め、未だ実施されていない。したがって、本プロジェクトにより、我が国技術を用いた地熱開発促進され、化石燃料よる発電の代替手段として、全国の地熱発電開発への波及効果が高く期待される。また、本プロジェクトによって得られる地熱開発の経験は、今後のミャンマー国地熱開発の手法を確立し、他地域への地熱技術展開を行う上で、多大な貢献となる。

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