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二国間クレジット制度等新メカニズム実現可能性調査(FS)結果データベース

調査名調査区分JCM実現可能性調査(FS)
調査名天然ゴム製造工程の排水処理における嫌気性処理の導入
調査年度2013(平成25)年度
調査団体株式会社 日水コン
調査協力機関○株式会社 栗田工業/○株式会社 日本テピア
●PT.Bridgestone Sumatra Rubber Estate(PT.BSRE)
調査対象国・地域インドネシア
対象技術分野廃棄物・バイオマス
報告書

※JCM方法論(案)及びPDDは、調査の結果として開発されたものであり、二国間クレジット制度の下で適用することについて正式な承認が得られたものでも、将来承認が得られることを保証するものでもありません。

<調査成果としてのJCM方法論(案)>
<調査成果としてのJCMプロジェクト設計書(PDD)(案)>
プロジェクトの概要インドネシア、北スマトラ州における天然ゴム製造工場では、その生産過程で大量の水を使用している。その排水は低濃度の有機性であり好気性処理である活性汚泥法で処理されているため、曝気による多大なエネルギーを使用している。
このため、排水処理の前段に嫌気性処理を導入し、後段の活性汚泥法の曝気動力を軽減させるとともに、嫌気性処理過程で回収したメタンガスのコジェネ利用を行うことで温室効果ガスの削減を図る。
JCM方法論適格性要件要件1:既存の活性汚泥処理施設の前段に嫌気処理を導入し、天然ゴム製造排水(CODcrの設計水質が2,000mg/L以下)中の生物起源有機物から、メタンガスを回収・利用する事業であること。
要件2:設定された目標処理水質が嫌気処理導入前でも達成されており、嫌気処理導入後も引き続き同じ目標処理水質が適用される計画であること。
要件3:80%以上の溶解性CODcr除去率が得られることが、カタログ或いは技術資料に記載されている嫌気処理技術を導入する事業であること。
要件4:回収したメタンガスは全量発電及び/或いは熱生成に利用し、自社内で消費するかグリッドへ供給すること。
要件5:既存の活性汚泥処理施設が、流入負荷の変動に応じて水処理エネルギー(ブロワ電力消費量等)の制御が可能となる施設であること。
デフォルト値の設定化石燃料(軽油)の排出係数と既存の活性汚泥処理施設の運転安全率をデフォルト値として設定する。前者はIPCCが定めるデフォルト値を、後者はBSREの実績値を使用する。
リファレンス排出量の算定以下の2通りの算定方法を設定した。過去4年以上のエネルギー消費量実績データが蓄積されている場合はOption-A、そうでない場合はOption-Bとなる。
Option-A:排水処理プロセスで必要なCODcr除去負荷量から、過年度実績データから作成する推定式を用いて活性汚泥処理施設の電力消費量を推計し、これに排出係数を乗じることで算定する。
Option-B:活性汚泥処理施設の設計電力消費量から、実際の処理条件(排水水量、排水水質)と排水処理施設の運転安全率を用いて算定した電力削減可能量を差し引いて、電力消費量を推計し、これに排出係数を乗じることで算定する。
モニタリング手法モニタリング項目は排水量、排水水質、電力消費量、コジェネからの熱回収量(温水水量及び水温)である。現状でも排水量、排水水質、電力消費量は高頻度(1日1回以上)で測定・記録している。また水質分析についてはBSRE内の実験室で専門要員によって、インドネシア国内基準(SNI)に基づき分析されている。事業実施後は熱回収量等の測定が必要となるが、測定方法、精度管理等を明確にして取り組む。
GHG排出量及び削減量2012年の排水水量、排水水質の実績値に基づき、検討した方法論を用いて、GHG排出量・削減量を算定した結果は以下のとおり。
【リファレンス排出量】Option-A:1,436t-CO2/年、Option-B:1,278t-CO2/年
実際の排出量:1,693 t-CO2/年に比べて、Option-Aは11%減、Option-Bは24%減となっており、排出量は保守的に評価されている。
【プロジェクト排出量】595 t-CO2/年
【GHG削減量】Option-A:812t-CO2/年、Option-B:683t-CO2/年
嫌気処理を導入しても排水処理に要する電力量は事業前からほとんど変わらないが、メタンガスを電力、熱として利用することで、700〜800 t-CO2/年のGHGが削減されると見込まれた。
環境影響等環境に重大な影響を及ぼす可能性のある事業は、環境影響評価を実施する必要があるが本事業は既設の排水処理施設に嫌気性処理施設を追加するものであり、環境への重大な影響項目には該当しない。また、当該施設にはバイオガス発電施設を併設するが、対象となる事業規模は10MW以上であり、本施設の規模では対象とはならないため、環境影響評価の実施の必要性がない。
本技術の導入においては、排水処理技術そのものが水質汚濁を防止でき、水環境への影響はない。また、嫌気性処理によって回収されるメタンについては脱硫装置とメタン漏出の防止を図ること、ブロアや発電機の騒音についても、低騒音タイプの選択等の環境対策で環境影響を最低限にすることが可能である。
事業計画事業収支は2つのケースで投資回収年数6.2年、4.9年となっているが、乾燥工程の見直しが進行中であり、これも考慮してコジェネ利用を決定。
また設備規模の詳細については、本調査と平行して実施しているメタンガス連続試験の結果をもとに決定される。今後のガス発生実験の結果よるが、概ねの詳細設計及び工事の期間は補助事業契約後1年程度であり、プロジェクト開始時期は2015年8月、プロジェク終了は2020年末とする。
日本技術の導入可能性本事業では低濃度有機性排水でも嫌気性処理が可能な日本企業が開発したバイオセーバーTKを採用する。室内バッチ実験では溶解性有機分の80%以上が分解しており十分な性能を有することが証明されている。競合技術と考えられる凝集沈殿、嫌気性ラグーンとGHG削減量、コストを比較した結果、バイオセーバーTKのGHG削減量は他2技術と比べても大きく、JCM補助を適用することでバイオセーバーTKの処理年価は凝集沈殿よりも安価に、嫌気性ラグーンと同程度になるため、GHG削減効果・処理コスト面からのバイオセーバーTKの優位性が認められた。 
ホスト国における持続可能な開発への寄与天然ゴム産業は22の主要産業分野の1つであり、今後の経済活動の拡大が期待されている分野である。本事業のように省エネルギー、環境対策での支援を行うものは、同国の経済開発に貢献するものと期待される。また、経済開発基本計画において、6つの経済回廊をその成長の中心としているがインドネシアにおけるインフレ率の上昇は大きな課題となっており、本プロジェクトのように投資回収年数が短いプロジェクトの実施が企業経営を支えるものと想定される。さらに、省エネルギー技術の導入という観点からは未電化地域において、電力供給の安定化を進める性格も有している。
 本事業は工場から排出される有機性排水の処理を進めるものであり、維持管理が困難な生物処理に対する日本の技術支援も提供できる。公共用水域の水質汚濁を改善するための排水処理技術の普及を進めるインドネシア政府の施策に整合するものであり、同国の環境対策に大きく貢献できる。 

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