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新メカニズム実現可能性調査(FS)結果データベース

調査名カンボジア・プレイロング地域におけるREDD+に関する新メカニズム実現可能性調査
調査年度2011(平成23)年度
調査団体一般社団法人コンサベーション・インターナショナル・ジャパン
調査協力機関CIファウンデーション(本部及びカンボジアプログラム)、九州大学大学院、兵庫県立大学大学院
調査対象国・地域カンボジア(プレイロング地域)
対象技術分野REDD+
報告書 参考PPT資料(PDF:1.4MB)
事業・活動の概要 カンボジア国北東部プレイロング地域におけるREDD+事業を調査の対象とする。対象地は、現状では約56万haを想定しているが、今後、本FSと並行して進んでいる森林保護区の境界線設定の結果に従って修正される予定である。
プレイロング地域では、地元住民による生活のための非計画的小規模伐採と企業による農地開発のためのコンセッション取得を通じた大規模伐採による森林の減少が続いている。対象地域の森林減少率は、カンボジアの年間森林減少率0.8%をはるかに上回るものであり、当該地域の保全の緊急性とREDD+事業としてのポテンシャルを裏付けている。
 コミュニティレベルでの保全契約を通じた森林保全とプレイロング地域を含む各州の森林局による森林管理を、コミュニティとともに協働しながら長期的に実施することで、この地域の森林減少を抑制し、排出を削減する実現可能性を検討する。
リファレンスシナリオ及びバウンダリーの設定 プロジェクトエリアは、森林局がCIの資金援助により保護林化の法的な手続きを進めている地域となる。2012年2月末現在、未だ最終化には至っていないものの、Kratie州、Kampong Thom州、Stung Treng州及びPreah Vihear州にまたがる地域が提案されており、既に全4州の知事の基本的な合意が得られており、最終的には、約40万haに収束するであろうと森林局は考えている。
 参照地域(リファレンス・リージョン)は、森林減少の率、要因、パターンなどの情報を分析する対象となる地理的範囲である。カンボジアは、REDD+ロードマップにおいてもネスティットアプローチを通じた国レベルへの統合を方針として示しており、リファレンスレベルの設定を準国レベルで設定するため、準国への分割方法の検討を開始している。分割方法の可能性としては、1)州、2)森林局の管轄区(カンボジアを4分割)、3)管轄区をいくつかに分割という案が出されている。
 準国の設定方法は、参照地域の設定に直接影響するため、カンボジア政府の方針が出た時点で、参照地域は、それに従う必要がある。そうした状況の中、本FSでは、プロジェクトバウンダリーを含む4州を参照地域とすることとした。
モニタリング手法・計画 森林変化の抽出には、CIが18カ国以上で適用しているLandsatを用いた手法 を適用する。この手法は、2観測年の画像を重ね合わせ、反射の変化から、教師付き分類により土地被覆が変化している領域を抽出する方法である。この処理で抽出された変化を土地被覆分類図に重ね合わせることで、減少した森林のタイプを知ることが出来る。本FSでは、土地被覆分類図としてはカンボジア政府の作成した地図を用いている。カンボジア政府の土地利用図と現地調査で取得した地上データを参考に、グーグルアース上で土地被覆区分ごとにトレーニングデータとなるポリゴンを数多く作成した。前述の通り、本処理の目的は森林減少の検出である。対象とする2時期のLandsat画像の計6バンドを用いて区分に分類した。
GHG排出量及び削減量 既存の炭素蓄積量データを利用し、複数のオプションを予測した。以下はその一例の抜粋である。
  • オプション1:約117万tCO2(2011-2020)、約325万tCO2(2011-2025)
  • オプション2:約117万tCO2(2011-2020)、約2千105万tCO2(2011-2025)
排出削減効果の測定・報告・検証(MRV)手法全般
  • IPCCのGood Practice Guidanceに準じた手法を採用する
測定
  • 森林変化及びバイオマスのデータを取得し、解析する
  • 森林の改変につながる許認可情報(例えば、年伐採割当、コンセッション、コミュニティ林業等)のGISデータを収集する。
報告
  • 空間情報を把握・保持した上で変化を報告するIPCCのアプローチ3を採用する。
検証
  • 外部審査に関しては、UNFCCCでも議論の的であるが、透明性と信頼性の確保のため、外部審査を受ける制度とすることが望ましい。
  • 検証方法としては、森林変化については、他プロジェクトの解析結果との比較をする。バイオマスについては、文献や国内の他のREDD+事業との相互比較をする 。
環境影響等 2012年以降にプレイロング地域におけるサブナショナル・プロジェクトを実際に立ち上げ、PDDを執筆する際には、CCBもしくはREDD+SESの採用について、カンボジア森林局と協議の上、決断する必要がある。
資金計画 プレイロング地域のREDD+事業の活動費を想定し、価格上昇率を5%と仮定した場合の20年間の活動費を概算した。尚、モニタリング等の炭素プロジェクト特有のコストは含めていない。20年間で、約3600万USDと概算した。
日本技術の導入可能性 森林保全活動を開始するためのレンジャー・ステーション等の設備の整備、衛星画像解析や精度の高いバイオマス調査といったREDD+に必要となる技術に関する能力開発、持続可能な農業技術支援や灌漑設備の向上、体制の整備に沿った後の能力開発支援の継続に基づく、現地機関への事業の委譲が考えられる。現地への事業の委譲に関しては、既存のJICA等の支援の枠を超え、金融機関等の民間企業との連携の模索も検討に値すると考える。
「コベネフィット」効果
(ローカルな環境問題の改善の効果)
 プレイロング地域の保護は、極めて希少な熱帯低地常緑樹林の回復を可能にすると同時に、世界的な絶滅危惧種を豊富に抱く生態系を保全するための最適の事例となり得る。つまり、プレイロング地域の保護は、生物多様性条約(CBD)においてカンボジアがREDD+を利用しながらどのような形で目標を達成し得るか、その支援の重要性を示す最適な事例となり得る。
ホスト国における持続可能な開発への寄与 プレイロング地域の森林は、重要水源地としてカンボジアそしてベトナムの漁業と農業を支え、また地元コミュニティが経済を依存する樹脂等の非木材生産物を提供している。プレイロング地域は、大規模に残された貴重な低地林であり、その保護に向けた取組みの実施が急がれる。さらに、プレイロング地域には多くの先住民族が居住し、森林に依存して生活を継続してきた文化的背景から、ELCの発行により森林が失われることが危惧されている。このような背景もあり、森林局は、REDD+を適用し、森林資源に依存して生活する地元コミュニティに便益を創出しつつ、プレイロング地域に森林保護区を設立するため準備を進めている。カンボジア政府は、国家森林プログラム(2010−2029)において、REDDを戦略優先課題のひとつとして位置づけている。2015年まで森林率60%の維持を目標として、森林法の執行とガバナンスの強化を目指している。プレイロング地域におけるREDD+の実施は、ホスト国の優先政策の達成へ寄与するものであると言える。

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