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新メカニズム実現可能性調査(FS)結果データベース

調査名タイ・炭素クレジット認証付ビルエネルギー管理システム(BEMS)制度の構築を通じた省エネ推進に関する新メカニズム実現可能性調査
調査年度2011(平成23)年度
調査団体株式会社山武
調査協力機関代替エネルギー開発・効率局(Department of Alternative Energy Development and Energy: DEDE)、タイ温室効果ガス管理機構(Thailand Greenhouse Gas Management Organization: TGO)、Azbil Thailand、株式会社あらたサステナビリティ、PwC Thailand
調査対象国・地域タイ(バンコク)
対象技術分野省エネルギー
報告書 参考PPT資料(PDF:730KB)
事業・活動の概要 日本の省エネ機器・設備を諸外国で普及させるためには、その前提としてエネルギー使用量の「見える化」、設備稼働状況の把握、運用効率化が必要である。日本ではBEMS導入が促進され、大きな省エネとエネルギー使用量の「見える化」による運用技術・ノウハウ蓄積が行われてきた。
 本調査ではタイの業務部門のビルを対象に、BEMS導入による省エネ技術移転とBEMS活用による設備の効率的運用で創出可能な省エネ量の調査、CO2排出削減量定量化のMRV手法を検討した。
リファレンスシナリオ及びバウンダリーの設定 リファレンスシナリオは、タイの業務部門ビル(オフィスビル、商業施設、ホテル、病院)にBEMSが導入されず、設備の省エネ制御・運用が実施されなかった場合とし、床面積の推移予測、CO2排出原単位の推移予測、その他要因の考察を基にリファレンスシナリオを示した。
 バウンダリーは、ビル全体である。ビル全体のエネルギー使用量に着目し、BEMSによる自動制御のみならず、運用改善によって得られる省エネ量をも含めることで排出削減のより大きな達成や意識向上に資するものと考えられる。
モニタリング手法・計画 モニタリング手法はビルで使用する全ての電気、燃料、熱の使用量について、電力会社、燃料供給会社の購買伝票のデータを用いる。モニタリング体制として、内部確認は6ヵ月に1回以上の頻度でデータ確認する。BEMS導入効果が大きく得られるビルは、その規模からタイの「省エネルギー推進法」の指定ビルであることが想定され、同法のエネルギー使用量の集計とモニタリングデータの集計作業を同周期・頻度とすることでモニタリングの負担を軽減する。
GHG排出量及び削減量約96.6万tCO2/年(2010年GHG排出量ベース)
排出削減効果の測定・報告・検証(MRV)手法 MRV手法は、ビル全体のエネルギー使用量より算出されるベースライン排出量の設定とBEMS導入後のエネルギー使用に伴う排出量把握が重要である。

 M(Measuring)エネルギー効率の悪いビルでBEMS導入による多量のクレジットが創出されないよう、ベースライン排出量を設定する。ビルの過去3年間の排出量平均値と、セクターごとの排出原単位とビルの活動量から算定された値のいずれか少ない方が選択されるしくみとし、エネルギー多消費ビルのベースライン排出量が大きく設定されない方法とした。CO2排出原単位は、同一セクターの原単位でも大きなばらつきを示したためベースライン設定の柔軟性検討が必要である。

 R(Reporting):Mで算定した値の報告を想定した。また、過去の排出量は3年間の平均値など計算結果を示す必要があると考えられる。BEMS導入後のビルの排出量は、1年ごとに報告する。

 V(Verification):算定確認では、Rで報告された、計画の算定結果が適切かを確認するとともに、その根拠データを過去の電力会社・燃料会社の購買伝票を用いて確認する。クレジット創出の実績報告では、BEMS導入後の排出量の算定とベースライン排出量等の算定結果が適切かを確認する。
環境影響等 BEMSのビルへの導入、運用では、排出量の大幅な増加リスクはほぼないと考えられる。またBEMSの製造、運搬、設置工事、使用、追加・増設、改造、破棄などライフサイクル全般において留意すべき化学物質、排出量の増大、公害・災害リスクが問題となる可能性は極めて低いとみられる。なお、BEMSの製造等の生涯CO2排出量は現地調査した病院のケースで検討し、ベースライン排出量の0.1%程度で影響がほとんどないことを確認した。
資金計画 BEMSプロジェクト単体の資金計画について検討するため、標準的なBEMSプロジェクトを仮定し、プロジェクトのキッシュフローをシミュレーションした。日本政府によるクレジットの買取額を原資とする補助金単体の場合と追加的にタイ政府等が補助金を上乗せする場合などの投資回収期間の影響を分析した。
日本技術の導入可能性 本調査を通じて、タイ政府・民間ともに省エネに対して高い関心があることを確認したが、省エネ運用水準は依然として低く、設備の最適運用による省エネ活動は十分ではない。省エネのための運用改善プロセスをタイ政府と日本政府の政府間の仕組みの下で日本企業が先導し、日本の製品普及のみならず運用改善型省エネ活動のノウハウをタイへ移転し、タイの省エネ意識の向上や専門技術者の人材・能力育成に貢献することがBEMS導入につながるものと想定される。またBEMS導入の経済的インセンティブの付与方策が必要で、政府、あるいは民間金融機関は、資金支援の必要条件として長期的な省エネ活動のコミットメント(約束)、省エネ効果やCO2排出削減効果を報告、モニタリングの審査、運用状況を監視する仕組みを整備することも求められる。
「コベネフィット」効果
(ローカルな環境問題の改善の効果)
 BEMS導入による電力消費量の削減は、発電に要する石炭とLNGの使用量を低減でき、NOxやSO2排出量の低減に寄与する。BEMS導入による電力消費量低減による効果は、NOx排出削減量3,023t/年、SO2排出削減量4,089t/年と推計された。
ホスト国における持続可能な開発への寄与 タイの電力システムの開発課題は電力使用量とピーク電力の低減である。タイの電力需要については2010年における電力使用量が149,475GWhであり2006年比13.5%の増加、同じく2010年のピーク電力は25,089MWであり2006年比12.6%増となっている。BEMS導入は、ピーク電力低減につながるため、電力設備増強時期の繰り延べやタイの電力供給の安定化に貢献すると想定される。また、発電のための燃料は石炭やLNGの使用割合が高いが、これらは海外からの輸入依存度が高い。BEMSによる使用電力の削減は、タイにおけるエネルギーセキュリティの向上にも寄与するものと考えられる。

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