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新メカニズム実現可能性調査(FS)結果データベース

調査名モンゴル・石炭火力発電所の複合的な効率改善に関する新メカニズム実現可能性調査
調査年度2011(平成23)年度
調査団体株式会社数理計画
調査協力機関モンゴル鉱物資源エネルギー省、エネルギー庁、第3火力発電所、第4火力発電所
調査対象国・地域モンゴル(ウランバートル)
対象技術分野省エネルギー
報告書 参考PPT資料(PDF:595KB)
事業・活動の概要 モンゴルの中央電力系統内において稼働中の熱電併給石炭火力発電所(CHP)に対して、総合・複合的に日本の低炭素技術を導入し、石炭由来のCO2排出削減を行うと共に、不十分な処理により排出されている大気汚染物質を削減し、温暖化対策と大気汚染対策のコベネフィットを実現する。
 当該事業・活動は、高効率タービン、給水ポンプの回転数制御、燃焼システムの効率改善等の省エネ技術の導入などを想定している。これらの活動により、CHPのエネルギー効率を向上させ、石炭消費量を削減することで、CO2排出削減に寄与する。
 本FS調査では、各火力発電所に対して訪問調査を実施し、省エネルギー対策、リファレンスシナリオ等、GHG排出削減効果の定量化やMRVの実施可能性などを精査し、二国間オフセット・クレジット制度(BOCM)の実現可能性を検討した。
リファレンスシナリオ及びバウンダリーの設定 リファレンスシナリオは、「導入技術」のシナリオと「発電所の運用方法」のシナリオに分けられる。発電所に対する訪問調査を実施し、以下のように設定した。「導入技術」のシナリオは「プロジェクトと異なった(低レベル)の省エネ技術が導入される」シナリオである。「発電所の運用方法」のシナリオは、(1)第5火力発電所が稼動開始するまでは現状の運用方法を維持し、(2)第5火力発電所が稼動開始後からは新しい運用方法となる、とした。この新しい運用方法は、実際に第5火力発電所が導入されてから、運用方法をモニターすることで把握できる。なお、バウンダリーは、発電所内である。
モニタリング手法・計画 モニタリング手法・計画については、火力発電所の既存のモニタリング項目を十分に活用しており、新たなモニタリング機器の導入や追加的なモニタリング項目はない。
 モニタリング項目は、直接モニタリングされる項目とモニタリングデータや各種パラメータから計算される(直接モニタリングされない)項目に分けられる。直接モニタリングされる項目は、送電端電力量、発電電力量、総熱供給量、復水器の平均入口温度である。直接モニタリングされない項目は、総石炭消費量、発電用の要したタービン蒸気量、タービンから抽気された蒸気供給量及び熱供給量、発電に用いられた石炭消費
量、熱供給に用いられた石炭消費量、等である。
 発電に用いられた石炭消費量、熱供給に用いられた石炭消費量、等は、毎月集計する。その他の項目は、基本的に連続測定が実施されており、それを毎日記録する。
GHG排出量及び削減量2014年〜2023年の合計値として以下のとおりである。

プロジェクト
排出量
リファレンスシナリオ排出量
削減量
第3火力発電所
921万tCO2
965万tCO2
44万tCO2
第4火力発電所
4,911万tCO2
5,145万tCO2
234万tCO
排出削減効果の測定・報告・検証(MRV)手法 モンゴルにおけるCHPは非常に複雑なプロセスを有している。そのため、以下のように現状の火力発電所の運用プロセスを活用し、当該事業・活動に詳しい専門家による検証を経て、MRV手法を構築した。
  • 測定(M)
 当該事業・活動に係るモニタリング計画を着実に実行するために、モニタリング活動の関係者及び組織を同定し、その役割や責任等を明確にした。現在火力発電所で実施している運用及びISOのPDCAサイクルを配慮しつつ、確実に排出権を確保できるモニタリング体制について提言した。
  • 報告(R)
 確実に排出権を確保するために、モニタリング結果の記録の手順・注意事項を提言した。現在も火力発電所の運転のため、モニタリングデータの記録は実施されているが、短期の保存が中心のため、排出権の獲得に向け長期間のデータ保存に対する新たな対応策を示し、その必要性を強調した。
  • 検証(V)
 検証に対応する発電所内の規則を提案し、検証プロセスに対応できる組織作りについて、内部監査チームの設立を含めて提言した。本FS調査において、現地事情や当該産業に詳しい専門家判断のスキームを実施し、リファレンスシナリオ、モニタリング計画、GHG排出量及び削減量の定量化手法、MRV手法について、専門家判断を実施した。結果、これらの項目については、妥当であるとの判断を得た。なお、専門家要件等に課題があり、今後は複数の専門家を集めた専門家委員会等で検証を実施するなど、改善すべき課題も得られた。
環境影響等 当該事業・活動は、CHPの効率改善を実施することにより、石炭使用に伴う大気汚染の周辺・越境影響軽減といった好影響を与えるものである。稼動時の環境への悪影響については、現時点では特定されていない。ハード対策等改修による建設工事については、発電所内であることから、周辺環境への騒音等の影響は軽微である。
資金計画 当該事業・活動の実施に必要となる初期投資・運営経費・収入の試算結果は、1ドル=80円として、以下のとおりである。
  • 初期投資:16,331百万円
  • 運営経費:327百万円/年
  • 年間事業経費削減:295.2百万円/年
  • BOCMクレジット収入:152百万円/年(10ドル/tCO2)
  • 社会経済便益:286.4百万円/年

 結果、発電所単体の事業としては財務的に厳しい。その要因として、クレジット価格の上昇も重要であるが、為替レートの影響がより大きいことが分かった。1ドル100円かつクレジット20ドル/tCO2、もしくは1ドル120円かつクレジット10ドル/tCO2といった水準となれば、当該事業・活動が成立する可能性がある。
日本技術の導入可能性 省エネ対策としては、「燃焼改善(低O2運転)」のように費用対効果の高いものから、「高効率タービンへの交換」のように効果は高いが導入費用も高額なものまで様々とある。そこで、費用対効果の高いメニュー、CO2排出削減効果の高いメニュー、モンゴルのニーズに適応した日本製技術のメニューなどのクライテリアを設定する。さらに、ハードの導入だけでなくそのハードを運用していくソフト的な支援を含めて複数の対策をパッケージ化し日本企業の優位性を高める。その上で、ODA等を活用しモンゴルへ導入していくのが望ましい。
「コベネフィット」効果
(ローカルな環境問題の改善の効果)
 以下のように、大気汚染物質の削減効果を、排出量の削減のみならず、それによる大気濃度の低減、さらに健康影響改善の便益の貨幣価値を算定し、GHG削減クレジットの貨幣価値と併せて事業性の評価を行った。
 省エネ対策により、第3火力発電所及び第4火力発電所の石炭使用量が1%削減された場合、大気汚染物質PM10の排出量は、4,318t/yから4,293t/yに削減される。この対策ケース別の排出インベントリを元にして、火力発電所における大気拡散シミュレーションを行い、対策ケース別のメッシュ別PM10濃度分布図を作成した。
 対策ケース別のメッシュ別大気汚染濃度、ホロー別人口、面積データから、メッシュ別人口による加重平均濃度を推計した。
 “exposure-response function”により、対策ケース別の死者数及び疾患別に健康影響を受ける人数を算定した。
 WTP(Willingness To Pay)を用いて、対策ケース別の死亡及び各疾患を貨幣価値へ換算した。死亡及び疾患別の健康便益は、対策なしから対策ケースの貨幣価値を差し引いて算定した。
 このようにして大気汚染の改善による社会的な便益を示し、モンゴルの政策の後押しの基礎資料となるべく、両発電所の事業を評価した。
ホスト国における持続可能な開発への寄与 モンゴルのDNAによる「CDMプロジェクトの認証クライテリア(DNA Approval Criteria)」によると、「環境」、「社会」及び「経済及び技術」という3つの主要な構成要素がある。環境及び社会については、上記の「環境影響等」及び「コベネフィット効果」に示した。
 経済については、資源の効率配分、技術やノウハウの移転、インフラ創設というクライテリアがある。当該事業・活動の実施により、これらのクライテリアに貢献するものと想定される。
 一方、炭鉱においては、石炭出荷量が減ることが想定されるが、単年当たりの石炭出荷量が減り出荷できる年数が延びることで、持続可能な開発に大きな貢献をすることになる。更に、国内で消費する石炭量が減り、輸出できる石炭量が増えることになり、外貨獲得など、経済には大きな貢献も想定される。

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