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二国間オフセット・クレジット制度等新メカニズム実現可能性調査(FS)結果データベース

調査名調査区分二国間オフセット・クレジット制度のMRVモデル実証調査(DS)
調査名製糖工場における廃熱利用を含むバガス利用発電
調査年度2012(平成24)年度
調査団体日本工営株式会社
調査協力機関ダンプール製糖会社 (Dhampur Sugar Mills Limited)
調査対象国・地域インド(ウッタル・プラデシュ州 ビジノール地区)
対象技術分野バイオマス利用
報告書

※MRV方法論(案)及び算定ツール(案)は、調査の結果として開発されたものであり、二国間オフセット・クレジット制度の下で適用することについて正式な承認が得られたものでも、将来承認が得られることを保証するものでもありません。

<調査成果としてのMRV方法論(案)>
参考PPT資料(PDF:6.0MB)
事業・活動の概要 本調査では、インド国北部のウッタル・プラデシュ州に位置するダンプール製糖会社が経営する製糖工場での廃熱利用を含むバガス発電事業をMRV方法論開発に対する事業・活動とした。2006年当初、同工場は製糖事業に伴い発生したバガスを7基の低圧ボイラ及び4基のタービンにて発電し、所内電力として利用していた。その後、2008年より高圧ボイラ(ボイラ蒸気圧:105kg/cm2×2)及び高圧タービン(30MW×2)を追加設置し、タービン廃熱を利用したコジェネレーションを行っている。なお、事業・活動後に得た余剰電力(発電量から工場内消費電力を減じたもの)は、グリッドに売電している。
MRV方法論適用の適格性条件
  1. 燃料とするバガスは、製糖事業の残渣であり、一般廃棄物またはその他の廃棄物を含んでいないこと。そして事業者が優先してバガスを利用できること。なお、バガス発電に係り15%(熱量ベース割合)までの化石燃料の混燃は認める。
  2. 事業・活動は、バガス発電プラントの新設または拡張であること、もしくは既存コジェネレーションプラントの更新であること。
  3. 燃料となるバガスを1年以上保管していないこと。
  4. 事業・活動は、グリッド電力もしくは/又は化石燃料の消費代替だけでなく、グリッドへの電力供給であること。
  5. 事業・活動にて設置するボイラの蒸気圧が、45kg/cm2以上であること。
リファレンスシナリオ及びバウンダリーの設定リファレンスシナリオ
- コジェネレーション施設の新設又は既存コジェネレーション施設の拡張: 製糖工場の電力・熱需要を十分満たす、低圧ボイラによるバガスコジェネレーションシステムが稼働する。そして、グリッドからの電力消費又は化石燃料の消費が無い。
- グリッドへの電力供給を伴う既存バガス発電施設の更新: 製糖工場の電力・熱需要がバガスコジェネレーション施設によって満たされている。そして、化石燃料が熱生成及び発電に利用される可能性、及びグリッドへの供給又はグリッド電力の消費の可能性がある。
なお、プロジェクト期間中に対象国の法規制等により製糖工場でのバガス利用が義務付けられた場合、規制値等がリファレンスシナリオとなる。

バウンダリー
 事業・活動バウンダリーは、「バガス発電施設(廃熱利用を含む)」及び「グリッドに接続する全発電所」とする。また、「グリッドに接続する化石燃料を燃料とする全発電所からのCO2排出」、及び「事業・活動に伴い消費する電力/熱を供給する際に発生する化石燃料を用いたCO2排出」をバウンダリー内に含めるものとする。
算定方法オプション 算定オプションでは、プロジェクトとして導入される、@バガス発電施設の状況、及びA混焼時に利用できる化石燃料データの状況に関してMRV方法論の内容が大きく変わると判断し、それらを算定オプションにおける選択肢として採用、最後にデフォルト値の有無を選択肢としている。
なお、本調査にて開発するMRV方法論は、利用者となる製糖事業者がMRV方法論を簡単かつ使い易いよう、(1) バガス発電施設の状況、(2) 混焼時に利用できる化石燃料データの状況、(3) デフォルト値の有無の確認、に配慮している。
デフォルト値の設定 本MRV方法論におけるデフォルト値は、グリッド排出係数(EFgrid,y :[tCO2/MWh])、及び化石燃料に係る単位発熱量(NCVi :[GJ/kL、t、1000Nm3等])及びCO2排出係数(COEFi :[tCO2/GJ])の合計3つとする。
モニタリング手法 主なモニタリングデータは、バガス発電に係る以下のデータである。
 事業実施後y年におけるグリッド電力消費量、事業実施後y年におけるグリッドへの供給電力量、事業実施前y年における熱生成及び/又は発電に係る燃料消費量等である。これらのデータは、工場内で常時確認しているものと考えられるが、本方法論では最低でも月に1回のモニタリングが必要とした。また、デフォルト値について、グリッド排出係数は年に1度とし、化石燃料に係る単位発熱量等は事業開始時に1度確認することとした。
モニタリング実施結果 本調査では、製糖事業の開始遅延が原因となり、実際の製糖事業を通したモニタリングを十分行うことができなかった。そのため、同工場において記録していた昨シーズン2011-12のデータを利用した。
 調査対象工場は昨シーズンにおいて隣接グリッドへ総計187,870MWh/年の電力量が供給されていることを確認した。
GHG排出量及び削減量 上記より、調査対象工場の製糖活動に係る昨シーズン(2011-12)のデータを用いて、GHG排出削減量を算定した。
 調査対象工場では、昨シーズンにおいて、バガス発電の後、グリッドへ187,870MWh/年の電力量を供給した。これにグリッド排出係数(0.91tCO2/MWh:2010-2011)を乗じると共に、事業・活動に係る混焼用化石燃料(石炭)を減じることで、昨シーズン(2011-12)における対象工場のGHG排出削減量54,515tCO2/年を算定した。
第三者検証の結果及び概要検証方法
 検証方法について、MRV方法論案及びモニタリングデータを以って、第三者検証機関であるSGS Indiaと事前打合せとして、当該事業の概要説明、当方の検証に係る意向を伝えた。その後、SGS Indiaによる工場訪問を行い、事前情報に基づいた収集データの内容や出典根拠の確認を行った。また、適格性要件の実用可能性等に対する確認を受けると共に、GHG排出削減量の検証を受けた。

検証検査結果
 第三者検証機関による検証では、主に次の点について確認を求められた。
  • MRV方法論で求められているデータ、及び当該事業に係り追加的に確認が必要と思われるデータの内容確認
  • 製糖工場内プラント計測機器のキャリブレーション情報の確認
  • 適格性基準の根拠となる情報・データの確認
なお、上記確認事項は、本調査期間において全てクローズしている。
環境影響等 ダンプール製糖工場は、コジェネレーションによる発電を始めた2007年に環境影響評価の許認可を取得。排水や排気ガスのモニタリングを適切に実施しており、負の影響はない。他方、正の影響として、バガス発電によるGHG排出量削減や地域への雇用機会の創出と地域経済へ貢献している。
日本技術の導入可能性 インド国における製糖事業では、同業界の多角経営化と事業拡大によるビジネス環境の変化が発生しており、バガス発電やコジェネレーション設備の効率化・拡充の機会は、日本企業にとって好機になると考えられる。しかしながら、近年の円高に加え、インド国内メーカーや中国企業等による低価格競争により、日本製品は競争力を失いつつある。こうした環境の下、日本製品を普及させるため、日本側から製糖事業者の資金負担を軽減できる働きかけが必要である。また、手厚いアフターケアや迅速な納品等のソフトサービスの拡充と、高品質製品とそれらを組み合わせたパッケージ営業の強化は、海外メーカーとの大きな差別化になると期待される。
ホスト国における持続可能な開発への寄与 ホスト国・インドは、近年、目覚ましい経済成長を遂げていることから、急激なエネルギー需要が顕在化し、同国ではエネルギー確保が急務となっている。このような状況に対し、本調査にて取り上げた「バガス発電」は、化石燃料に依存せず、かつ同国の既存産業である製糖業界の底上げにもつながる一石二鳥の事業と期待される。
 特に、インドにおけるエネルギー行政を取り仕切る新・再生可能エネルギー省(MoNRE)は、2011-17年に対する新・再生可能エネルギー戦略計画において、今後注力する分野の一つとして、バイオマス発電を挙げている。バガス発電はインド国内に既に広く普及しているものであり、案件数も他のバイオマス発電(籾殻、キャッサバ等)に比べ多い。このため、本調査にて開発するMRV方法論は、同国における再生可能エネルギーの持続的な開発において貢献し得るものと考えている。

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