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CDM/JI事業調査結果データベース

調査名エクアドル・ガラパゴス諸島における風力及びジャトロファ油を用いたコジェネレーションCDM事業調査
調査年度2009(平成21)年度
調査団体三菱UFJ証券株式会社
調査協力機関ガラパゴス再生可能エネルギープログラム(ERGAL)、電力・再生可能エネルギー省(MEER)、農牧水産省(MAGAP)、国立独立農業研究機関(INIAP)
調査対象国・地域エクアドル(ガラパゴス諸島)
対象技術分野再生可能エネルギー(風力発電)
対象削減ガス二酸化炭素(CO2)
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間
  • 風力発電:2010〜2030年/2011〜2017年(更新あり)
  • コジェネ発電:2013〜2027年/2014〜2021年(更新あり)
報告書
プロジェクトの概要 本プロジェクトでは、主要13島の一つであるバルトラ島を対象サイトとして、石油依存からの脱却を目指すエクアドル政府の「ガラパゴス諸島における化石燃料ゼロプログラム」の下、6.75MWの風力発電と5MWのバイオ燃料(ジャトロファ油)によるコジェネ発電を実施し、同島及び隣接しているサンタクルス島のミニグリッドへ供給することで、既存の化石燃料由来の電力を代替し、温室効果ガス排出量の削減に貢献する。また、コジェネ発電所で発生した熱は、新設予定の淡水化プラントに供給する。風力発電は第一フェーズ(2.25MW)と第二フェーズ(4.5MW)に分け段階的に設置し、コジェネ発電は風力発電の第二フェーズと同時期に導入することを計画している。
適用方法論
  • 小規模方法論AMS-I.C.(Ver.16からの改訂を申請)
  • 小規模方法論AMS-I.D.(Ver.15)
ベースラインの設定
  • 風力発電:
     ベースラインシナリオは、本プロジェクトの実施により代替される、サンタクルス島において現在ディーゼル油を燃料とした発電から発生しているCO2排出である。ベースライン排出量は、AMS-I.D.に従い、風力発電により生産される発電量にディーゼル油の排出係数を乗じて求める。
  • コジェネ発電:
     本プロジェクトでは、ジャトロファ油を燃料としてコジェネ発電を行う。生産された電力は風力発電を補う形でサンタクルス島のミニグリッドへ供給される。熱源は新設される淡水化施設へ供給される。「ベースラインシナリオの特定及び追加性の証明に関するコンバイドツール(Combined tool to identify the baseline scenario and demonstrate additionality)」に基づきベースラインシナリオを特定した結果、ベースラインシナリオにおいては、本プロジェクトを実施せず、サンタクルス島の既存のディーゼル発電機がミニグリッドに電力供給を続け、淡水化施設では新規ボイラーを導入しディーゼル油を燃料とした熱源供給を行う。
     コジェネ発電によるベースライン排出削減量は、小規模方法論I.C.に基づきコジェネによる発電量(総需要と風力による発電量の差)にディーゼルの排出係数を乗じて求める。また、熱源供給におけるベースライン排出量は、本プロジェクトが実施されない場合に使用されるであろう一般的なボイラー効率により調整した熱源供給量にディーゼル油の排出係数を乗じて求める。
追加性の証明
  • 風力プロジェクト及びコジェネ発電共通の障壁:
    1) エクアドル政府の財政難
       石油産出国であるにもかかわらず石油派生品を輸入しなければならないことから、エクアドル経済に重大なコストがかかっている。石油製品への助成金政策や原油価格の落ち込み等により政府の収支状況が悪化している。また、2009年の水不足によるエネルギー危機により政府予算が逼迫している。このような財政状況から、ガラパゴス諸島の再生可能エネルギーへの予算確保が不透明な状況にある。
    2) ガラパゴス諸島のインフラ設備開発における障壁
       離島であるがために開発に最低限必要なロジスティックスや基本サービスが乏しい等の不便さや、高い労働及び基本サービスのコスト、そして環境保護を目的とした様々な規制等が障壁となっている。
  • 風力発電に特化した障壁:
    3) 風力タービン供給難と価格の高騰
       昨今の風力発電の需要急増により風力タービンの供給不足となっており、本プロジェクトのような1MW以下の小規模タービンに関心を寄せるメーカーが予想以上に少なく、入札の進行が遅れている。また、地理的に不利な条件や生態系の保護に関する制約のため、発電所建設は技術的にも通常以上に困難な計画となっている。
  • コジェネ発電プロジェクトに特化した障壁:
    4) 投機資金の流入によるジャトロファ油価格の高騰
       将来的にジャトロファ油の需要が高まることを想定し、先行して投機的動きをするジャトロファ油大規模生産者等が出てくる可能性があり、ジャトロファ油の価格が高騰するリスクがある。
GHG削減想定量
  • 風力発電:11,177tCO2/年(年平均)
  • コジェネ発電:10,321tCO2/年(年平均)
モニタリング
  • 風力発電:
     AMW-I.D.において要求されているモニタリング項目はグリッドに供給された純発電量の計測値と売電値である。
  • コジェネ発電:
     AMS-I.C.において要求されているモニタリングは、発電量及び発熱量の測定及びバイオマス及び化石燃料の消費量の測定である。
     また、同方法論の改訂案では、AMS-III.T.を参考にバイオ燃料に付随するモニタリング項目を次の通り提案している。
      1. プロジェクト活動における植物油の消費量
      2. 種子の収穫量、搾油用種子の含油量、種子当たりの植物油製造量
      3. 植物油製造過程において消費されたエネルギー量及び植物油用樹木生成に使用された肥料量、プロジェクト実施前の活動(shift of pre-project activities)、バイオマス利用の競争についてのモニタリング
      4. 植物油の真発熱量(NCV)(幾つかのサンプルを選定し、直接測定)
      5. 果実・種子及び植物油の搾油所若しくは供給地までの運搬にて使用される燃料
      6. 植物油製造者と消費者間のCERの権利に関する契約(製造者と利用者が同参加者でなかった場合)
      7. 最終廃棄処理方法及び/若しくは利用方法及び/若しくは廃棄場
      8. 最終廃棄物処理運搬に伴う排出量
環境影響等
  • 風力発電:
     環境影響評価(EIA)に関する調査が既に実施済であり、2009年8月にEIA監督機関である環境省より承認され、環境ライセンスの許可も取得済みである。EIAで指摘された大きな課題は、立地の選択及び建設があたえるガラパゴス諸島の生態系への影響である。特にプロジェクト用地に生息する鳥類やコウモリ及びリクイグアナ等の陸上生物の巣や飛行高度の確認は詳細に調査された。これらの結果等を考慮し、案件実施後の環境影響指標に関する詳細なモニタリング計画が、ガラパゴス国立公園管理機関の指導に基づき立てられている。
  • コジェネ発電:
     環境影響評価(EIA)に関する調査は現在準備中である。現時点で判明している課題は、コジェネ発電所が備蓄基地に近接して建設されるため、バイオ燃料の取扱いにおいて重大な環境影響を及ぼす可能性があることである。想定できる環境負荷としては、建設時の生態系への影響である。バルトラ島の爬虫類(特にリクイグアナ)は絶滅種であり、詳細な風力発電同様にモニタリング計画を策定する必要性が想定される。
事業化に向けて 風力発電機器に関する入札が開始されており、既に事業化の目処が立っている。コジェネ発電についての入札は、EIA終了後に予定されている。第一フェーズの風力発電実現に向けて、CDMを考慮した追加資金調達を現実化するため、現地関係者と引続き協議を行う。
環境汚染対策効果 本プロジェクトで得られるコベネフィットは、ディーゼル油を燃料として使用することにより、サンタクルス島の発電所から排出される大気汚染物質排出量の削減である。プロジェクトシナリオでは、風力発電所の稼動により2011年及び2012年におけるSOx、NOx、煤塵、CO2の排出量が50%削減され、それ以降は6基の稼動が停止することにより、事実的ゼロに近い排出量となることを想定している。
持続可能な開発への貢献1. ホスト国における生体系破壊リスクの評価:
     本プロジェクトの実施により船舶によるディーゼル油の運搬が削減され、船舶事故による生態系破壊リスクを軽減できる。

2. サンタクルス島における陸上運搬による燃料消費量の減少による追加的CO2排出削減:
     本プロジェクトの実施により、サンタクルス島沖合いからプエルトアヨラ間の石油製品の陸上輸送が無くなることにより、温室効果ガスの排出削減につながる。

3. サンタクルス島の土壌汚染環境改善:
     サンタクルス島におけるディーゼル油使用量を削減することにより、現在ディーゼル油が貯蔵されている貯蓄タンクの老朽化により発生している土壌への燃料漏出が削減され、土壌汚染の抑制につながる。

4. サンタクルス島の水質汚染環境改善:
     土壌汚染が近接する上水用の貯水池に与える影響を緩和する。

5. 淡水の供給:
     水は、ガラパゴス市民、特に真水ではなく汽水の消費を余儀なくされているサンタクルス島の住民にとっては、最も改善が必要なインフラ設備の1つであり、淡水の供給は住民の生活の質を大きく改善するものである。

6. マナビ地方農村部への経済的貢献:
     本プロジェクトのコジェネ発電に使用されるバイオ燃料の原料であるジャトロファは、農村地帯であり生活水準が低いマナビ地方で栽培される。ジャトロファには今まで経済的価値がなかったため本プロジェクトに対する現地の期待は大きい。ジャトロファがコミュニティにとっての経済的な起爆剤となり、関係するコミュニティの生活水準を向上させ、雇用機会を生み出すことが期待できる。

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