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CDM/JI事業調査結果データベース

調査名マレーシア・パーム搾油工場残さを活用したバイオマス発電CDM事業調査
調査年度2008(平成20)年度
調査団体株式会社あすかスマートエナジー
調査協力機関住友重機械工業株式会社、Rimbunan Hijau Group、Titan Energy Sdn. Bhd.
調査対象国・地域マレーシア(サラワク州)
対象技術分野廃棄物管理
対象削減ガス二酸化炭素(CO2)、及びメタン(CH4)
CDM/JICDM
プロジェクト実施期間/クレジット獲得期間2011年〜2025年 (15年)/2011年〜2020年 (10年)
報告書
プロジェクトの概要 本事業は、マレーシア西部・サラワク州のパーム搾油工場で生じる廃棄物を事前処理した後、循環流動床ボイラーに燃料として投じ、電力(16MW)と蒸気(75t/h)を得る事業である。また現状、パーム廃液(POME)がラグーンで処理されているため、ここから発生するメタンガスを回収し、バイオガス燃料として併せてボイラーに投ずる。本事業はリンブナン・ヒジャウ(Rinbunan Hijau、以下、RHとする)が所有するミルの能力増強(2011年1月)(FFB処理能力60t/hから120t/hに増強)に合わせて、実施する。同ミルはRHが所有する自社農園から7qに位置しており、原料の持続的調達が可能である。CDMの実施は生産増強によるエネルギー消費の増加を自社設備で賄うとともに余剰電力を、サラワク・エナジーの所有する系統を通じて売却することによってミルの経営基盤を安定化させること、さらには近隣集落の住環境改善に貢献すると考えられる。
ベースラインの設定 本事業のベースライン・シナリオではEFBがランドフィルに投機され、POMEはラグーンで嫌気性処理され、メタンが発生する。自家発電用にシェルとファイバーを燃料として使用されるが、グリッドに電力を供給できるほどの発電容量ではない。
 本事業は@EFBの処理によるメタン放散回避とAPOMEからのメタン放散回避の二つの排出削減手法が適用されることと、これらのバイオマスおよび回収されたメタンガスが燃料として利用、発電された電力が石油由来の電力を代替する(B)という三つの排出削減が行われるCDM事業である。本事業では二つの方法論を使用する。方法論ACM0006が@とBを対象とし、ACM0014がAを対象とする。
追加性の証明 CFBボイラーを利用したパーム残さのバイオマス発電事業はサラワク州初の取り組みであり、CFBボイラー技術のノウハウが構築されていないこの地域においては技術的バリアが存在する。CDMの技術移転によってはじめてこの事業が成立するので、本事業は追加的であると考える事ができる。また、本事業の経済性はCERがない場合、IRRが10.2%とベンチマークである15%を満たしていない。IRR15%以上に達するにはCER価格12.73 USD/tCO2が必要である。
GHG削減想定量 年平均177,477tCO2、1,774,770tCO2/10年間
モニタリング 本事業では、ACM0006とACM0014の二つの方法論のモニタリング項目が存在する。
 ACM0006の主なモニタリング項目は、パーム残さの投入量、発電量、蒸気の供給量、売電量、EFBの前処理に伴う電力など。
 ACM0014においてはPOMEのCOD値、POMEの処理量、バイオガス回収量、フレアされたガスの量などである。
 パーム残さのトラック輸送やPOMEから回収されたスラッジの土地への散布は計画されていないが、万が一これらが実施された場合を想定し、モニタリングの対象としている。
環境影響等 本事業のバイオマスプラント建設で、環境影響評価(Environmental Impact Assessment (EIA))を実施する必要性はない。但し、発電所の建設を実施する前に必ずSite Evaluation ReportをDepartment of Environment, Sibu Office に提出して認可を得る必要がある。また年に一回 Stack Emission Monitoring ReportとWastewater Monitoring Reportを提出する必要がある。本事業対象工場は、Stack Emission Monitoring Reportを提出しているが、ラグーンは満水になっておらず排水を水域に放出していないのでWastewater Monitoring Reportの提出を行っていない。
事業化に向けて売電価格の決定
     本事業の収入源であるサラワクエネジーへの買電価格について、先述の通り、RM0.18/kWhでの交渉がされている。しかし、依然としてPPAを締結するに至っておらず、収支計画を確定することが出来ない。現状のREPPAは参画する発電事業者と買い上げる電力会社との間で個別取引の形態をとっており、発電事業者からは電力売買価格の決定に対する透明性を求める声が強い。このため、サラワク・エナジーでは、買上価格の引き上げと定額制を採用することも模索されている。
運転パターンの確定
     パーム残さを利用する本事業では、ミル稼動の状態が直接、廃棄物の量を決定し、発電燃料の量を決定することになる。ミルにとっては運転に要する要員の確保などの観点から、日中はミル操業に専念し、生じた廃棄物を夜間、発電に利用するという運転パターンが指向された。しかし、このような運転パターンの場合、夜間の安い電力買上価格のために期待収入が減少し、事業の経済性を損なう。事業者との間で折衝が必要な事項である。
FFBの増産計画
     本事業の発電量は現状のパーム残さの量ではなく、将来的に増加するであろうパーム残さの量を推定し、その処理に適したバイオマス発電設備の設計を行っている。パーム残さの量の推定は将来的なFFB処理量の計画に基づいており、このFFB処理計画はRHのパーム農園のFFB生産計画に従っている。本F/S調査においては現状のFFB処理量の確認、RHのFFB増産計画の調査、及びそれに基づくCO2削減量の算定を行ったが、今後の事業実施にあたっては、どの程度FFBが確実に増産されるのか、FFBが増産できないリスクは存在するのか、計画通り増産されない場合や発電に必要なバイオマス残さの量が確保できない月があった場合に他社のパーム農園からFFBやバイオマス残さを確保できるか、などの発電事業の立場からバイオマス残さの確保に関してより詳細な調査を実施し、安定的にバイオマス残さを供給できるようにリスクマネジメント体制を整備しておく必要がある。
コベネフィットの実現 本事業によって地域の環境改善に貢献すると考えられる項目は大気汚染の緩和、水質の改善、臭気の緩和、害虫発生の防止が挙げられる。コベネフィットの定量評価の手法としては、一般的な石炭火力発電所から発生する排ガスの成分とその量をベースラインとし、実測できるバイオマスプラントからの排ガスと比較してその効果を評価することが可能である。本プロジェクトプラントからの排ガスのデータを環境局にStack Emission Monitoring Reportにまとめて提出する必要があるので、そのデータをコベネフィットの指標作りに利用する事ができる。ミルの排水データはWastewater Monitoring Reportとして毎年、環境局に提出する必要があるためそのデータを、排水の環境基準値をベースラインとして比較評価する事ができる。

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